top of page
  • 執筆者の写真中村

冬場の乾燥、「かくれ脱水」に御用心

冬場は夏ほど汗をかくことも減り、喉の渇きも感じにくいことから、水分補給を怠る傾向にあるようです。そのことから脱水症の一歩手前なのに本人も周囲も気づかず、有効な対策が取れていない状態、「かくれ脱水」になっている人もいると思われます。


体内の水分の割合は、成人で体重の約60%、65歳以上の高齢者で約50%となっています。この体に含まれる水分のことを体液と言います。


体液には血液、リンパ液、消化液、細胞と細胞の間を満たす組織間液などがあります。体液が全身を循環することで、体に必要な酸素や栄養分が細胞に運ばれ、不要な老廃物は尿として排泄されます。また、体温が上がったときに汗を出して体温を一定に保つのも、体液の重要な役割のひとつです。


体液は、汗や尿で体の外に出ていく水分と、飲食によって体内に入る水分のバランスがとれることで、一定の量が保たれています。ところが以下のような原因が生じると、このバランスが崩れ、体液が不足してきます。


1.【暑さ】気温の高さや湿気による大量の発汗。

2.【病気】熱による発汗や下痢、嘔吐など。

3.【飲食】何らかの理由による不十分な水分補給。


体液は汗や尿のほか、皮膚からの水分蒸発によっても外に出ていきます。湿度が低く、乾燥する季節はこの水分蒸発が進むため、より体液が失われやすい傾向にあります。


「かくれ脱水」を放置すると、本格的な脱水症へと進行するリスクが高まります。脱水症は脳、消化器、筋肉の3ヶ所で起こりやすく、初期症状としては次のようなものがあります。


1.頭痛

2.集中力の低下

3.日中の強い眠気

4.食欲不振

5.腹部の不快感

6.胃もたれ

7.体に力が入りにくい

8.筋肉痛

9.足がつる


1~3は脳、4~6は消化器、7~9は筋肉で生じる症状です。


どの症状も「ちょっと体調が悪いな」と感じる程度のもので、脱水とはなかなか結びつきにくいかもしれませんが、原因が分からないまま不調が続くようであれば、まずは水分不足を疑い、すぐに対策を取りましょう。


「かくれ脱水」を防ぐ基本は、こまめな水分補給です。必要な量には個人差がありますが、1日1.5リットル程度を目安に、2~3時間おきに水分をとる習慣をつけましょう。


高齢者の場合は特に、気温や体調の変化、喉の渇きなどを感じにくいことから、慢性的に水分が不足しがちです。服薬と同じように1日の中で時間を決めて、意識的に水分を摂取することを心がけましょう。


なお、就寝中も汗をかき、体液が減っています。起床時には、必ずコップ1杯以上の水を飲むことを習慣にしましょう。


血液中の水分不足で血液が濃くなると血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まるので注意が必要です。


食事から摂取する水分も体液を一定に保つ上で必要不可欠です。特に朝食はしっかりとりましょう。


また、入浴後や飲酒後なども体液が失われ、脱水を起こしやすいので、しっかり水分補給をすることが大切です。


水分補給と同時に、乾燥から身を守り、水分の蒸発を防ぐということも今の時期は大切です。以下のような乾燥対策をして、冬場を快適に過ごしましょう。


○室内では加湿器を使う。

○洗濯物や濡らしたタオルを室内に干す。

○定期的に窓を開け、換気をする。


閲覧数:31回0件のコメント

最新記事

すべて表示

食事を見直して低栄養を予防しましょう

皆さんは、フレイルやサルコペニアという言葉をご存知でしょうか?フレイルとは、身体能力のほか、精神的、社会生活面にも衰えがみられる状態、サルコペニアは、筋肉量が減少し筋力や身体機能が低下している状態を言います。 人生100年時代と言われる今、健康寿命を延ばすことの重要性が高まっており、将来の身体機能障害との関連が深いフレイルとサルコペニアの予防が重要視されています。 厚生労働省の令和元年度の国民健康

健康寿命の要「股関節」のケアについて

股関節は胴体と両足をつなぐ、体の中で最も大きな関節のひとつです。体重を支え、歩く・立つ・しゃがむなど、私たちの脚を前後左右自在に動かすとても重要な役目を果してくれています。 また股関節は、体の中でも最も可動域の大きな関節であり、固くなった状態のまま放置すると、腰や膝の痛み・変形性膝関節症などを引き起こし、生活にも支障をきたす恐れがあります。 さて、皆さんの股関節はどうでしょうか?固くなっていません

風邪で長引く咳を緩和するには

2024年も気がつけば2月になりました。寒い時期ですが、体調を崩されたりしていませんか? 年明けに「風邪をひいて咳が治まらないのでお休みします」と連絡をくださった会員さんが数名いらしたので、今回は咳対策について書きたいと思います。 人は、空気の通り道である気道に異物が侵入した時、それを外に出そうと咳をします。つまり、咳は埃や細菌、ウイルスなどの異物が体の中に入らないようにするための防衛反応なのです

bottom of page